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2014年8月 6日 (水)

奥野修司『心にナイフをしのばせて』(2009)を読む。

1 はじめに

 この本は、1969年春に神奈川県の某有名私立高校で発生した残忍な事件を取材したノンフィクションノベルである。これは、被害者側家族を綿密に取材し、力点を置いた本である。

 しかし巻末にもあるように、加害者側の取材と言う点で不十分であるため、全体像としてここで論評することは避ける。

2 加害者(元少年)による被害者の母親への発言

 「お金が必要なんですか」

 「少しぐらいなら貸すよ、印鑑証明と実印を用意してくれ、50万ぐらいなら準備できる。今は忙しいから一週間後に店に持って行くよ」(207頁)

 これは、被害者の母親が事件発生30年後に、加害者(元少年)に謝罪を求めて尋ねた際に言われた言葉である。
 被害者側家族は事件後家族が崩壊し、厳しい毎日を過ごしていた。一方加害者は少年院を出た後、更生し立派に弁護士として活動していた。

 しかし、この加害者(元少年)の言葉の裏には何があるのだろうか。

 (1)少年法や時効制度に守られ、支払い義務がないことへの法的権利主張
 (2)過去の記憶を消去し、加害者が事件を直視しないための自己防衛行動

 この本の出版後、加害者は弁護士を廃業したという。その後の足取りについては全く不明ではあるが、加害者の更生期間中の葛藤や経緯、その間の事件に関する思考や心理的変遷についてぜひとも知りたいものである。

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コメント

なんでしょう、この母親への言葉っ
チビの歯を負った加害者親子の姿とダブってしまいました。
被害者以上に苦しい思いをすべきなのは加害者なのに

でも30年後に尋ねて行ったのって何故でしょう?
賠償に関してきちんとして貰えなかったのなら法的に出来るのに…
この行動に関しても何か違和感を感じます。

瀬津ユ様、コメントありがとうございます。
この記事では伝えきれないので、
ぜひ一度、この本をお読みになると、よいと思います。
被害者家族の心理的変化は、丁寧に記述されていました。

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