「恋ふ」の命令形は?~読売新聞『編集手帳』より~
8月16日読売新聞「編集手帳」より
「恋ふ」の命令形は、文法的には「恋ヒヨ」である。
映画監督瀬川昌治の著書『素晴らしき哉 映画人生!』(清流出版)によると、瀬川が学習院高等科に学んでいた頃、教師から「君たちに教えることはもう何もない。ただ、兵隊にいくときは肉親以外に一人秘めた人を持って行ってくれ。それが自分が教えることの最後である」との言葉を贈られたという。
一方、国語学者大野晋の回想で、「恋ふ」の命令形は「恋ヒヨ」だと説明したところ、女子学生から「その命令形は成り立つのでしょうか?」と質問を受け、さすがの大野先生も返答に困ったという。
まさに、この女子学生が指摘するとおり「恋することは誰からの指図は受けないはず」である。
私もこの記事と同様に、いつまでも「恋ふ」の命令形が存在しない世の中であってもらいたいと願っている。
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