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2014年8月12日 (火)

人として「当たり前の想像力」の醸成を~『読売新聞』より~

1 はじめに

 8月12日付読売新聞朝刊(35頁)において、2004年に佐世保市で起きた小6女児殺害事件における少年審判の裁判長を務めた小松平内(へいない)氏のインタビュー記事が掲載されていた。この記事の要約と、若干のコメントを記す。

2 記事要約

 小松は、精神鑑定の果たすべき役割として「なぜ少女が人を殺してみたいと考えるようになったのかは、『心の闇』ではなく、何かがあるはず」と述べる。また、少女が「共感性」や「人を思いやる気持ち」が不十分であったと指摘し、今後の鑑定で明らかにされる内容として、「こういうことをしたらこうなるという、人間として当たり前の想像力が十分にない子供に育ったのか、あるいは想像力はあっても衝動が上回ったのか。今後の鑑定などで明らかにされるだろう」と期待する。

 また、今回の加害少女が小学校6年の時、児童2人に漂白剤などを混入した事件に触れ、このことを「万引きなどの非行と異なる」と述べ、さらに「『娘が何か人格上の障害を抱えているかもしれない。先々、他人に迷惑をかけてしまうかもしれない』と心配し、娘のしたことに向き合ったのだろうか」と親の責任も指摘し、「この時が一つの分かれ道だったのでは」と述べる。その上で「親(自分)の子という意識でなく、社会の子という視点を持つことが、親の責任として必要だ」と述べる。

 さらに、「10年前の事件以降、行政も教育現場も命の大切さを伝えようと努力してきた。これが功を奏さなかったわけではないが、今回の非行を止められなかった」ことを嘆き、司法が「可能な限り事情を解明し、検証する必要があると思う」とまとめている。

3 考察

 7月9日Eテレ「美輪乃湯」では、「優しさとは想像力」と述べていた。想像力を養うために美輪は「詩や俳句、和歌などの文化を身につけさせることが大切」と述べている。ここで述べる「想像力」とは、「思いやり以上、空想力未満の想像力」を指す。今回の加害少女は、たいへん優秀な生徒であったという。おそらく高いレベルの詩や和歌、俳句等の知識を身についていたと想像できる。しかし、その優秀な生徒がなぜ、人間としての「当たり前の想像力」を働かすことができなかったのだろうか。それは知識はあれども、教養として身についていなかったと言えよう。特に今回の事件を、小松の述べる単に少女の「心の闇」という言葉でごまかさないことが大切である。

 また小松は、加害少女が小学6年の時に友人に漂白剤を混入した事件について一つの分岐点であったと指摘する。他の記事によれば、その時の事件について、加害少女の保護者が、加害少女へのいじめ問題を優先させ、不問にさせたと聞く。「我が子可愛さ」は、どの保護者でも同じであろう。しかし、過剰な被害者意識と権利意識は、むしろ我が子を誤った方向性へ向かわせるという教訓を、全ての保護者は深く理解せねばならない。小松ののべる、「我が子であれども『社会の子』」という意識は、現在の個人主義が発達しすぎた社会で、再確認し、我々が深く反省しなければならない問題点であると言えよう。

 憶測で発言することは厳に慎まねばならないが、この加害者少女が統合失調症や自閉症スペクトラム等の障がいを抱えていたと仮定するならば、早期に発見し、保護者もその治療や支援を積極的に受け入れれば、今回の事件に限らず、小学6年の事件も防げたと言えよう。これについても保護者の過剰な偏った期待が、間違った方向に発展し、今回の事件が発生したのではないだろうか。この問題についても、今後の精神鑑定の結果に期待せざるを得ない。

 本来このような加害少女の解明は、未然に家庭、医療機関、行政、教育現場で解明し、対応しなければならない問題であった。それにもかかわらず「司法の場」で解明しなければならなかったことに、容易に関係者のむなしさ、哀しさが想像できる。二度と同じような事件を起こさせないために、我々が何をなすべきか深く考えさせられる事件であった。

 「人として当たり前の想像力の醸成」と口で説明するのは簡単だが、実際はとても複雑で難しい問題である。

 

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