オオカミ信仰の里~埼玉県秩父地方~
昔話や童話では、何かと悪者とされることが多いオオカミであるが、武蔵御嶽神社、三峰神社、両神神社を信奉する地域では「お犬様信仰」がある。このお犬様とは、山犬を指す。具体的には「ニホンオオカミ」を指し、御眷属(ごけんぞく=神のお使い)として人々の信仰を集めている。御眷属様としてのニホンオオカミの名称は「大口真神」(おおぐちまのかみ)である。
オオカミ信仰としての山犬信仰は、田畑を荒らすイノシシ・シカ・キツネなどを追い払う農業の守り神である。特に養蚕が盛んであった埼玉県秩父地方では、カイコの敵であるネズミを退治する神としても、人々の信仰を集めてきた。
この地方では、昔は「送り犬」として、夜遅くひとりで帰宅するときは、山の神のお使いであるお犬様が軒先まで送ってくれ、その守護に感謝するため、玄関に入ってから外に向って「お犬様、御苦労さま」とお礼を言っていた風習もあったという。いわゆる「送りオオカミ」として使われている言葉の意味とは、全く反対の意味がある。
各地の神社にある狛犬(コマイヌ)も、この地方では山犬(ニホンオオカミ)の像となる。現在では絶滅したと言われるニホンオオカミではあるが、この地のどこかでひっそりと生きているのではないかと想像をかきたてる。
今度の週末にでも、奥秩父を訪ねてみたいと思う。
〈9月30日追記〉
9月28日、両神神社を参拝する。
山里の中にひっそりとたたずんでいる。
○大口真神こと、ニホンオオカミの狛犬
長い尻尾と、太い眉が特徴的だ。
他の神社の狛犬と異なり、痩せてあばら骨が出ている。
耳は後ろ側にあり、ニホンオオカミの姿とは、このような姿であったのだろう。
鋭い顔つきだが、よく見ると愛嬌がある。
○神社本殿。
御朱印やお札を分けていただこうと社務所を訪ねたが、お留守であった。
地元の人に、「ニホンオオカミはいませんか」と尋ねたら、笑われてしまった。
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