相手の「器」を量る~読売新聞「編集手帳」より~
11月27日読売新聞「編集手帳」より引用・要約
アポロ11号が月面着陸する様子をテレビで同時通訳したことで知られる国弘正雄氏が84歳で亡くなった。
1975(昭和50)年に三木武夫首相(当時)が訪米し、ワシントンで講演したときのエピソード。
記者からの質問
「当地にはプロ球団がない。読売ジャイアンツの招致にお骨折り願えないか?」
首相は日本語でボソボソ
「話を何とか進めて・・・」
と答えた。
通訳の国弘正雄氏
「プロ野球はいまや米国のみならず、日本の国技でもある。あなた方ね、私らが何でもイエスと答えると思ったら間違いですよ。日米交渉と同じです。ご提案は受託しかねます」
現地記者の居並ぶ会場がワーッと沸いた。当の首相は隣でキョトンとしていたらしい。
米国のメディアは意表をつく質問を飛ばし、その応対を見て相手の「器」を量るときがある。日本の首相がなめられてはいけない。国弘さんの回想によれば”誤訳”する了解を事前に首相から得ていたという。
〈感想〉
早速、私の職場の通訳の方とこの話をした。その方も大笑いをしていた。その方は、かつて医学やコンピュータに関する同時通訳をしていたが、これだけの訳は「同時通訳の神様」と呼ばれる国弘さんでなければできないという。
恥ずかしながら私にはその自覚がないが、その方言うには、どうやら私は頭の回転が早く、なかなかウィットのある会話ができる人に見えるらしい。でも、仮に自分がその場にいたら、このような会話は日本語でも難しいことだ。
意表をつく質問に対し、その応対を見て相手の「器」を量る。日本のビジネスシーンでもよくある事である。冷静な対応ができるよう、忙しい中でも自己の器を磨かねばならない。
〈追記〉
That's one small step for a man, one giant leap for mankind.
”これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、
人類にとっては大きな飛躍だ。”
聞きなれはいるが、壮大な言葉である。
(ちなみにこの時は、西山千氏による同時通訳であった。)
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私もこの記事 読みました。
国弘さんって凄い~と思いました。
事前に誤訳でも・・・と了解を取っていたのは
やはりアメリカのメディアのやり方に精通していたから・・・と。
ある程度 心構えがあったと推量します。
それにしても頼もしい方ですね。
これから若い方々・・・国弘さんの後を追って欲しい物です。
とんぼさん 頑張って~。
投稿: マーチャン | 2014年11月29日 (土) 08時32分
本当にすごい方ですね。
おっしゃるとおり、
これから若い方々も続いてほしいですね。
投稿: とんぼ | 2014年11月29日 (土) 10時37分