松涛明『風雪のビバーク』(二見書房、1999)
一月六日 フーセツ
全身硬ッテ力ナシ 何トカ湯俣迄ト思ウモ有元ヲ捨テルニシノビズ死ヲ決ス
オカアサン
アナタノヤサシサニ タダカンシャ、一アシ先ニオトウサンノ所ヘ行キマス
何ノコーコウモ出来ズ死ヌミヲオユルシ下サイ、井上サンナドニイロイロ相談シテ
サイゴマデ タタカフモイノチ 友ノ辺ニ スツルモイノチ 共ニユク(松ナミ)
我々ガ死ンデ 死ガイハ水ニトケ ヤガテ海に入り、魚ヲ肥ヤシ 又人ノ身体を作ル、個人ハカリノ姿 グルグルマワル 松ナミ
~松涛明『風雪のビバーク』(「二見書房」213~214頁 1971年、1999年)~
十数年ぶりにこの本を棚から取り出す。
松涛明とは、大正11年仙台に生まれ、旧制府立第一中学校から東京農大に学ぶ。中学時代から登山に熱中し、昭和13年7月東京登歩渓流会に入会する。以来つねに先鋭なクライマーとして活躍した。
昭和24年1月風雪の槍ヶ岳、北鎌尾根において岳友とともに遭難死した。行年二十八歳であった。
通常、登攀(クライミング)では2人組みとなり、相手のことを「ザイル・パートナー」と呼ぶ。それはお互いが確実に生き残るためである。
この文章を読むたびに、常に松涛から問いかけられ続けている気がする。
「あなたには実社会においても『ザイル・パートナー』はいますか」
と。
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