「集団的自衛権を支持する者は、徴兵制を容認しなくてはならない」~社会学者大沢真幸~
9月15日付埼玉新聞において、社会学者大沢真幸の記事が掲載されていたので、引用する。
私の考えでは、集団的自衛権を支持する者は、徴兵制を容認しなくてはならない。必要な時には徴兵制をいとわないという覚悟なしに、集団的自衛権を支持すべきではない。なぜか?
集団的自衛権に大義があるとすれば、それは、国際平和に「ただ乗り」すべきではない、ということである。しかし、もし自分では戦場に行く気がないのに、集団的自衛権を欲するとすれば、それは、他人がつくった平和にただ乗りしたいと言っているに等しい。
だが、人は自分自身が参加しない限りで戦争を支持する傾向がある。ベトナム戦争のとき、米国内で激しい反戦運動があった。しかし戦争当初から反戦運動が強かったわけではない。法哲学者の井上達夫によれば、運動が激化・拡大したのは、徴兵制が強化され、白人中間層を含む多くの市民が戦場に行く可能性が出てきたころからである。
だから集団的自衛権の是非を考えるには、自分が戦場に行くということがどういくことなのかを、リアルに知る必要がある。
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集団的自衛権について、法を学ぶ者の一人として、つい憲法論や法解釈学で解こうと考えてしまうが、大沢の論立ては、実にシンプルでわかりやすい。
私も、このような論述ができるようになりたいものである。
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お早うございます。
話の意味が良く理解できます。
誰もが戦場に行くのは厭います。それでも集団自衛権を容認するのでしょうかね。
自らの立場を、そこに行く事に置けば・・・どうなるのか、やはり必要なものは
「平和」です。武装して平和を論じる事は出来ません。
若い方々の声はそこにあるのですよね・・
投稿: でんでん大将 | 2015年9月22日 (火) 08時33分
難しい言葉で考えるのではなく、
すっきりと、わかり易く論述する。
大沢教授、さすがです。
投稿: とんぼ | 2015年9月22日 (火) 11時32分