徳澤園にて幕営~上高地第1日目~
中央線の各駅停車に乗り、現地に向かう。「青春18きっぷ」を使うのは、私の場合、学生時代以来のことだ。日頃、長距離移動の際は、特急があたりまえとなっており、せっかちな自分にとって、時間の過ごし方がわからない。本を読んでいても、そう長くは読めないものだ。そのような中、ありがたくも会長から、車窓から臨む山々についてのご講義を受ける。しかしその場では、ほとんど覚えることができない、
我が会の会長は、昔ながらの山男である。まじめで実直、性格温厚。もちろん知識と経験も豊富であり、奇人・変人ばかりのメンバー全員から信頼されている。しかし、今年度末をもって勇退することになっている。このことが、今回各駅停車での移動をすることになった理由でもある。夜行ではないものの、各駅停車での移動は、まさに若かりし頃の山を目指す会長の姿だったのだ。
電車での移動は、とにかく時間がかかる。何度も乗り換えた後、バスに乗り込み上高地に到着した。
ご存知の通り、徳澤園は井上靖の「氷壁」の舞台となった宿である。いわゆる「ナイロンザイル切断事件」は、日本において消費者運動というものが存在しなかったころ、小さな山岳会が巨大企業と日本山岳会を相手に勝訴した事件のことである。テン場までのほぼ平たんな道すがら、小説の主人公である魚津恭太や、彼が密かに思いを寄せる美那子について、またテレビドラマ化された際の美貌の人妻である八代美奈子(演:鶴田真由)について語り合いながら歩く。そんなことをしているうちに、フル・ザックを背負った私たちは、予定より30分早く到着した。
受付を済ませ、すぐに設営する。手慣れたメンバーなので、あっという間に完了した。食事の用意を済ませ後は、もちろん夜のお楽しみの準備もぬかりない。ふと周りを見渡してみると、高校生ぐらいだろうか、関東や関西の学生さん達が、男女を問わずあちこちで設営している。彼らは時間になるとすぐに寝てしまう。今夜はあまり大騒ぎしないように気をつけなければならない。彼らはうらやましい。若いころから山登りに興味を持ち、経験することは、今後の人生において素晴らしい糧となることであろう。さらに、我々のように山に関して先を歩く者にとっても、たいへん喜ばしいことでもある。本音を言えば宿に泊まりたいが、今回の会長のための山行でもあり、当然誰一人不満の声を挙げる者はいなかった。
(つづく)
一度書き始めると、続けて書きたいのだが、SDカードを貸してしまってしばらく戻ってこない。そこで、スマホの中で保存していた”唯一の写真”をアップします。今日は、ここまで。
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