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2018年6月12日 (火)

映画『万引き家族』(2018)

 久しぶりに納得できる映画であった。パルムドール賞を受賞したのも大いにうなづける。

 非正規雇用、幼児(児童)虐待、DV、所得格差、貧困の拡大、JKビジネス、年金の不正受給など、一見豊かに見える日本も、様々な問題を抱えている。この映画は、現在の日本が抱える社会問題を幅広く取り上げ、考えさせる作品であった。

 この記事を書くにあたり、いろいろなレビューを読んだ。中でも映画評論家の矢崎由紀子氏の語る、【引用https://eiga.com/movie/88449/critic/

 「子どもは生まれてくるとき環境を選べない。でも、もし選択の自由があったら?虐待する親と、愛情かけて万引きをやらせる親。あなたはどちらと一緒に暮らすだろう?」

 という問いかけは、とても説得力があり、善人の仮面を被った私たちに対する的確な問題提起といえよう。

 さらに矢崎氏は、「法律的な善人が犯す悪(少女の親による虐待)」と、「法律的な悪人が成す善(治による虐待児の保護)」を対比させた点を挙げている。この問題が、観た人の価値観をおおきく揺さぶるである。すなわちこの対比が、日ごろ私たちが当然とする価値観の姿が、実は「富める者の一方的な善」であったのかと振り返らせるのである。

 私たちは、「人のものを盗んではいけない」という、生きる上でのて至極当然のルールを、子どもの頃から厳しく、徹底的に教育されている。一方この家族が万引きを続ける理由は、それをしなければ生活できないなどという単純な理由だけではない。万引きを続けることで家族のつながりを求め、「真の家族」になろうと必死になってもがいているひとつの家族の姿なのだ。

 今まで売らんかな主義に基づいた映画評論があふれ、実際に劇場に足を運んだものの、結果として失望させられた作品も数多くあった。しかし、この映画は違う。十分見ごたえがあり、納得できる作品であった。

 皆さんもぜひご覧ください。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

観に行こうかどうしようかなと思っていたところでした。
しげまるさんの記事で、近々、イオンシネマへ観に行き
ます。樹木希林さんにも会いたいし。

情報ご提供、ありがとうございました。

しらこばと様、コメントありがとうございます。
ぜひぜひご覧ください。おそらく納得できると思います。
樹木希林さんの演技力は、すばらしいですよね。
あの演技は、他の人にはまねができません。
ご覧になられた後の感想も、ぜひ教えてくださいませ。

俺も早速観に行きました。
最初は何だかドキュメンタリー的で違和感を持ちましたが、
なかなか良かったですね。
ただ、少し難しい内容であったという人もいましたね…
様々に観る人で違った感想が聞こえましたね。

でんでん大将様、コメントありがとうございます。
この映画を一度で全てを理解するのは難しいと思います。
自宅に戻り、いろいろな講評を読みながら、
「このシーンは、こういう意味だったのか」
と気づかされることもありました。
子役の方も含め、一流人による配役は、
さすがプロだと感心させられました。

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