「言霊」とは~三島由紀夫の言葉より~
これは言霊というものの 働きだと思うんですね。
彼らが天皇ということを口にするのも 汚らわしかったのが
この2時間の シンポジウムの間に
あんなに大勢の人間がたとえ悪口にしろ 天皇なんてたくさん言ったはずがない
言葉は言葉を呼んで 翼をもって この部屋の中を飛び回ったんです
この言霊がどっかに どんなふうに残るか知りませんけれども
その言葉を 言霊を私はここにとにかく残して 去っていきます
これは問題提起にすぎない
私は諸君の熱情は信じます これだけは信じます
他のものは 一切信じないとしても
これだけは信じるということを 分かっていただきたい
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昭和44年5月13日 東大教養学部900番教室
攻撃的でかつ、意味不明で理解不能な発言をする彼らに対し、丁寧に説明しながら彼らとの根本的な共通点を見つけようと、三島は言葉を駆使する。
あれから50年、日本人の語彙力が劣化し、乏しくなっていると感じるのは、私だけではないはずだ。
これは、活字離れによる副産物ともいえよう。
だからこそ、三島の「言霊」という言葉の遣い方が、ひときわ輝いて見えるのだ。
言葉は「言霊」、言葉には魂があり、永遠に飛び続ける。
そのためにも、我々は母国語である日本語の語彙数を増やし、育む努力をすべきだ。
具体的にはどうすべきか、やはり読書をすることが最も近道であろう。
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