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2020年5月29日 (金)

アフターコロナへの対応~【山岳四団体からの声明】を受けて~

 令和2年5月25日、日本山岳・スポーツクライミング協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳会、日本山岳ガイド協会の山岳四団体から「政府の緊急事態宣言全面解除を受けて山岳スポーツ愛好者の皆様へ」と題する声明が発表された。そこで前回の日本山岳医療救助機構からの発表と比較し、検討を加えることとする。

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 尾瀬(記事とは関係ありません)

 具体的に、「『自粛』要請解除後の登山・スポーツクライミング活動ガイドライン」として以下の8点を挙げている。

1.近距離(100km圏内程度)でできるだけ都道府県を跨がない日帰り登山から始めましょう。
2.体調不良(平熱を超える発熱、悪寒、倦怠感、息苦しさ、咳等)での登山は止めましょう。入山後にコロナ感染発症すると命に関わり、救助隊、収容先地元医療機関に多大な迷惑を及ぼします。
3.登山は、少人数で行いましょう。(パーティーは、当面5名以内で。)
4.自粛期間中、季節や地震による山容の変化、登山道の荒廃など思わぬ危険が潜んでいます。十分な登山ルートの下調べと地図、コンパスの持参、登山届けは必ず提出し、家族にも残しましょう。
5.登山中でもマスクを着用しましょう。マスク着用時は、熱中症及び脱水には十分留意し、こまめに水分摂取を心がけましょう。
6.登山、クライミングジムでのソーシャルディスタンスを守りましょう。
  一般的には2メートル前後ですが、登山中の場合は、さらに距離が必要と言われています。また、クライミングジムでは建屋構造、利用人数等で制限がありますので、ジムの指針に従ってください。
  咥えロープ、滑り止めなどもジムの方針に従ってください。
7.登山山域内での買い物や、下山後の呑み会等も地元住民への感染防止の観点から控えてください、食材、飲料、緊急食などは出発前に揃えておきましょう。
8.自粛中に衰えた筋力、体幹を鍛えましょう。

・・・・・・・・・・

【考察】

 5月24日に山岳医療救助機構からの発表と比較し、より具体的になった部分と医療部分以外の留意点を示したものとなっている。

1について
 近距離ということで、具体的に「100km圏内程度」とし、「都道府県を跨がない日帰り登山」からの開始を求めている。100kmというのは、北海道を意識しての数値であろう。都道府県を跨がないことも条件となると、高い山のない千葉県の登山者気の毒でならない。しかし、結論としては、自粛生活での体力低下を不安視することから、やむを得ないと考える。
2について
 当然といえよう。
3について
 パーティーの人数を「当面5名以内」とした。単純計算でも先頭と最後尾との距離が8mとなる。平坦な道ならば問題ないが、山道となると休憩時の場所や山頂でのスペース等の問題において疑問が残る。
4について
 自粛期間中における登山道の荒廃に留意することを求めている。登山道の荒廃については、十分に注意しなければならないことである。
5について
 山岳医療救助機構と異なり、常時のマスク着用を求めている。酸欠や熱中症のことも考えると、むしろリスクがあるのではないだろうか。難しいと言わざるを得ない。
6について
 登山中のソーシャルディスタンスについても、2メートルよりも「さらに距離が必要」としている。これは風による広がりを防ぐことを考慮した結果と思われる。3とも関連するが、先頭と最後尾の距離が離れてしまうとなると、チーフリーダー、サブリーダーの技量が問われる。
 クライミングジムについては、「ジムの指針に従って行動」とし、一律に不可としなかったことは評価できる。延期されたとはいえ東京オリンピックの正式種目となり、競技者人口の増加に水を差す結果とならず、好ましい判断といえよう。
7について
 従来は、登山山域内での買い物や呑み会を実施していたが、これも不可となる。これは地元経済への返還という意味も含んでいた。地元の方々や地元の医療機関への配慮と理解しつつも、なかなか厳しい判断といえよう。
8について
 最終的には、ここに落ち着くことになるだろう。自粛生活による体力低下は、事故につながる。登山は地味なスポーツであるが、体力を必要とする。メジャーなスポーツと異なり、トレーニングジムで鍛えることがすくないが、新型コロナウィルスの流行が長期化するよそうなので、少しずつでも体力を強化・維持させる必要があるだろう。

【まとめ】

 全体的に厳しいと言わざるを得ない。人数の制限である「当面5名以内」については、今後、旅行会社の主催するガイド付き登山や、さらに学校行事としての林間学校や遠足等の教育活動にも影響がでると予想できる。特に地域によっては学校登山が伝統行事となっている。その行事の中断は、今後の学校行事に影響を及ぼすであろう。
  マスクの常時着用については非現実的で、大いに疑問が残る。冬山ならば考えうるが、高温多湿の夏山においてマスク着用は熱中症等のリスクも発生しやすい。こまめな水分補給と休憩が必要だ。
 評価すべき点としては、これまでの登山自粛により、登山道の荒廃への注意を含めたことの意味は大きい。例年ならば地元山岳会による登山道の整備が行われいるはずだが、今年度は行われていない場所も多い。
 地域の人々への感染拡大を防ぐために、買い物や飲食の自粛は厳しい。すなわち「登山者は招かざる客」ということとなる。今までお土産屋さんで物を買い、飲食店があれば、そこでその土地の名産を食べることを楽しみにし、地元の人との交流や情報交換を楽しみにしていた者のひとりとして残念なことだ。さらに下山後の呑み会についても、「※山返し」という登山文化の意味もあった。
 やはり、新型コロナウィルス流行中の措置として、やむを得ないとは理解しつつも、全体的に厳しいと言わざるを得ない。この声明は、前向きに解釈するならば、まずは近場でマスクをして、遠回しには、登山そのものの活動を当面自粛せよということであろう。

 ※「山返し」とは
 山岳信仰の名残として、古来、山に登ると山の神様を連れてきてしまうと考えられている。そこで、下山後に呑み会や食事会を開催することで無事に下山できたことに感謝をするとともに、連れてきてしまった山の神様を山にお帰りいただく儀式のこと。「下山祝い」ともいう。いわゆる「精進落とし」のようなもの。

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