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学問・資格

2016年12月10日 (土)

没後100年、漱石再考

12月9日は、漱石没後100年となる。

NHKでは、漱石研究を行っている姜尚中教授の番組を再放送している。

単なる文学者ではなく、社会批評家としての漱石。

明治維新で自信を喪失した日本人が、日清・日露戦争の勝利で先進国としての自信を取り戻した日本。

それを鋭い視線で分析し、批評する漱石。

近代日本のみならず、現在の日本も見据えていた。

番組では、それについてわかりやすく説明している。

姜尚中教授のマックス・ウェーバー講義は、学生時代さっぱり理解できなかったが・・・(笑)

2016年8月12日 (金)

「プラグマティズム(pragumathism)」とは何か

 平成28年5月29日朝日新聞に「プラグマティズム」について解説されていたので、要約する。

1 プラグマティズムとは

 プラグマティズムとは「実用主義」と訳される。これは、1870年代論理学者パースや哲学者ジェイムズらが集った私的な研究会から生まれた思想である。さらに20世紀に入り哲学者デューイは、「知識は問題解決に役立つ道具」、すなわち「道具主義」としてこの思想の適用範囲をを教育や民主主義などに広げた。

 プラグマティズムの思想が生まれた当時の米国は、「進化論」におけるキリスト教信仰と科学の対立、南北戦争における奴隷制度反対派と容認派の対立の反省から「異なる思想の共生を目指し、唯一の正しさを否定する」ことから始まり、「人間の知性は謝り得るとして、唯一絶対の真理を探究する伝統的な西洋哲学を批判する」ものである。

 現在でも、民族紛争や宗教的対立など、それぞれが主張する正義同士がぶつかり合う中で、異なる考え方や信念の共存を目指す試みとして注目されている。

2 実用主義・道具主義

 実用主義と訳されるゆえんは、知識や概念は経験や実験により検証され、その結果が有用であれば真理とする点にある。このことについて大賀聖学院大学非常勤講師は、「すべてを解決できる『唯一の正しさ』には到達できないが、その時々の問題の解決に有用な『それなりの正しさ』には到達できる。暫定的な真理を肯定し、間違いが見つかれば修正する。柔軟な多元主義」と解説する。具体的には、宗教上の信仰も、その人が信じることで心の平安を得るなど有益であれば、たとえ他人には非科学的で誤りと見えても、一つの真理として認める。

 デューイの道具主義について大賀講師は、「問題解決への仮説を立て、実践によって検証を繰り返し、そのつど修正を加え、より良き方法を求める。知識はそのための道具という考え方」、さらに「あきらめることなく対話を継続してコミュニケーションを図り、相互理解の可能性を探る」と解説する。

3 現代のプラグマティズム

 宇野重規東大教授は、「答えがすぐにわからない今の時代、実験を重視し、とにかくやってみようというプラグマティズムが見直されている」とし、「シールズの姿勢がプラグマティズムそのものだ」として学生団体「SEALDs」に注目する。

 シールズなどの活動は、政治に対する素朴な疑問や危機感から出発し、試行錯誤を続け、インターネットで幅広く呼びかけ、デモもスマートにみえる。誰でも構えることなく参加でき、集会では自分の言葉で語りかける。その姿勢は、「自己満足やニヒリズムに陥らず、実験を続け、新たな手法を作り、社会へ広げる」姿勢がプラグマティズムそのものだと解説する。さらに「少しずつ変えていけば、革命をせずとも社会は変えられる。こうした実験が息長く続くかどうかが課題だ」とまとめている。

4 現代への応用

 この記事の図解においてプラグマティズムの考え方を、以下の4点にまとめている。

●唯一絶対の真理は存在しない
→多様な価値観を認める(多元主義)

●有限な人間が抱く信念や意見は常に誤り得る(可謬主義)

●概念や知識は経験や実践により検証され、その結果が有用であれば真理と認める。

●知識や思想は問題を解決するのに「役立つ道具」である

 この思想から始まり、「探求や行動を重んじ、そのつど修正を施しながら、あくなき改良を求めるプラグマティズムの姿勢は、様々な社会活動に影響を与えている」と結論付けている。

5 私見

 唯一絶対の真理を求めることなく、多様な価値観を認め、常に試行錯誤を続けるという思想には共感できる。しかし「あきらめることなく対話を継続してコニュニケーションを図り続ける」ことは、その前提として双方がこの思想を尊重し、お互いの同意がなければ成立しないものである。すなわち一方が対話の継続を求めても、相手が武力による解決を求めた場合にプラグマティズムはどのように解決するのか疑問が残る。 

2016年7月25日 (月)

「必要なのは学問だよ」~田中角栄~

必要なのは学歴ではなく

学問だよ。

学歴は過去の栄光。

学問は現在に生きている。

   ~田中角栄~

 尋常小学校しか出ていない田中角栄には「学歴」がなかった。角栄はそれに劣等感を感じたこともあったが、政治家となってからは逆にその「学歴のなさ」を自らの武器として使うようにもなった。
 「学問」とは志を持った人間がいつでも学ぶことのできる「生きるための知恵」だ。人間にとって本当に必要なものは必ずしも高学歴ではないということを、角栄は戦後、初めて体現した政治家だった。

    別冊宝島編集部編 『田中角栄100の言葉』

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 過去の栄光にしがみつかず、志を持って「学問」を続けましょ。

「生きるための知恵」を身につけるために。